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十二人の怒れる男のyassoonのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.2
1957年の作品。IMDbのTop 250 Moviesで堂々の第5位。まだ未見だったので鑑賞。

2024年時点の現代の目で見れば多少のシーンのもたつきや、93分に収めたが故のストーリー展開の性急さはある。有罪を主張し続けた最後の3人の転向はもう少しじっくり見たかった。ただそんなのは重箱の隅をつつくレベル。緊張感が持続する文句なしの超一流のエンターテイメントでありながら、依然として今の時代にも通底する社会問題、そして社会に対する責任を全うするとはどういう事かを問うてくる傑作だった。

何も考えず他人の意見に追随する者、人の命を左右する責任の重さに無関心な者、大声を出せば意見が通ると思っている無礼な者、偏見や印象だけで決めつける差別主義者、幾つも出る新たな疑問に耳を貸さず自分の有罪への先入観に固執する者に、次々とめちゃくちゃ厳しく矛盾を突きつけていく。オセロの黒が白にどんどん裏返っていくような様は気持ちいいのだが、同調圧力的なもの(「早く終わろう」「長引かせても誰も得じゃない」とか、議論を尽くさずに幕引きする)に打ち勝つ「使命を果たす自分の意志」が重要だなと。その意味でたった1人でもその意志を持ちその他11人に陪審員としての矜持を問い続けた番号8番(ヘンリー・フォンダ)の演技が素晴らしかった。自分もいつ被告人の立場になるか分からないから、その時は「面倒だから有罪にしとけ」ではなく、徹底的に議論を尽くして欲しいと思うよなぁ。逆の立場になって考えてみるのって凄く大事だと思った。

移民の人の民主主義についての話のパートが好き。
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