Avayette25

十二人の怒れる男のAvayette25のネタバレレビュー・内容・結末

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

殆ど陪審員室のみで
繰り広げられる映画。

こんなにも低予算
(出演料は知らないが笑)で
高い満足度を与える映画は
他に観たことがないレベル。
しかも60年以上前の制作。

12人の陪審員達が、
父親を殺した疑いを
掛けられている少年の事件について
有罪無罪を話し合っていく。
有罪なら電気椅子で死刑。
父親はナイフで十二センチ刺されていた。

一番初め
有罪11 無罪1。

1人の無罪主張者デイビス。

○少年
18歳。
スラム生まれ。
9歳で母亡くなる。
父親が服役中は1年半施設で過ごした。
孤独で頼る相手も無く
毎日誰かに頭を殴られた。
5歳の時から父親から暴力。
誰だって非行に走るような生育環境。
毎日が生きる為の戦いの連続。
泥沼の中。

死刑は当然だが、
多額掛かる
裁判を受けられただけで幸せだと
意見する者。

有罪の証拠は必要だが、
無罪の証拠は不要。
立証責任は検察側だけにある。
疑わしきは罰せず。
被告人は黙秘権も保障されている。

事実だけを元に話す人。
目撃者等。
同情の余地はあるが罪の償いは必要。

目撃者の1人もスラム街の人間。
信用に足りるのかと。

パスしたい。
よく分からない。
動機を重視したい。
cf暴力は日常的
動機までにはならないのではと

色々意見する者達。

少年の前歴
子供の頃教師に石を投げた。
15歳で車を盗み感化院。
強盗で逮捕。
ナイフの喧嘩。

俺も暴力されていたが
ぐれていないと言う者も。

弁護人が徹底して反対尋問もしない。
多くの細部な疑問が見逃されている。
やぶ蛇になるからor弁護士が無能

各人の意見。
非常に多角的な視点。

現場の目撃者はあくまで1人。
物音を聞いた人や
逃げるのを見たという人はいても。
そういう状況証拠ばかり
だが検察側は彼らを重要証人とした。

<当日息子の動き>

夜8時 殴られた。
‪✕‬ひっぱたかれた
ビンタじゃなくゲンコ

古物商でナイフを購入。

8.45 酒場の前で数人の友達と会う
9.45 友達と別れる ナイフを見た
10 帰宅

ここから食い違い

●息子の意見

11半 映画に行く。
題名などは覚えていない。

ナイフ落とした。

3.10 帰宅 父の死を知り逮捕。
刑事に階段から突き落とされた。

●陪審員Xの意見

12.10 父を刺し家を出た
指紋も拭った

●デイビスの意見

ナイフの形状が似ているのはありうること。
実際に近くの店でも売っていた。
息子が父を殺した証拠にはなり得ない。

-------------------‐-------------------‐

jury room=陪審員室

感化院
(現在「児童自立支援施設」)は、自分の部屋や施設の周囲の門扉に施錠がされておらず、自由に外出できる開放的な処遇の施設。
cf少年院は施錠されていて自由に外に出られない施設。

飛び出しナイフを買うことは違法。

Guilty 有罪
Not Guilty 無罪

飛び出しナイフはスラムで生まれた。

-------------------‐-------------------‐

無記名再投票で全員有罪なら諦める。

6両の電車が通過するのは10秒。
最後2両で女性が見た。
その直後に父親が倒れた。
←倒れるまで10秒間騒音が凄かったはず。

本気なら近所に聞こえるように叫ぶか。

なぜ家に帰ってきたか。
ナイフを取りに帰ってきたか。
パニック状態だったのか。
ナイフの指紋を拭う余裕はあったのに。

サディスト気味な3番が
殺してやるとつい言ってしまい、
それは本当に殺すつもりじゃ
ないんでしょうと、
これまでの推論を逆に納得させる指摘。

動揺してなくても
映画の内容について
普通なら簡単に記憶から消えてしまう。
動揺していれば尚更。

普段眼鏡を掛ける人が
起きがけにすぐ事件が見えたのは
サングラスや遠視の可能性も
あるのではという指摘も。

偏見は真実を曇らせる。

モノクロが、
出てくる意見や情報
その物に焦点を強く当てさせる。

建設的な議論の積み重ね。

1人の無罪主張が
結果的に全員を無罪の意見へ。

息子との写真を見て、
愛する息子が父親を殺したと信じたくない
という事も頭をよぎったのか。
Avayette25

Avayette25