倉持リネン

十二人の怒れる男の倉持リネンのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
3.9
父親を殺してしまった少年の判決を決めるために小さな会議室に集まった12人の陪審員。

満場一致で死刑に決まるかと思われたが、反対に手を挙げた男が1人。12人の男たちの議論が始まる……


ほぼ全編会議室の中で会話するだけのワンシチュエーション映画で、陪審員たちの名前も、犯人の顔も、犯行の様子も何も映画には映らない。ただただ初対面の男たちが話し合うだけ。

だからこそ脚本や演技の素晴らしさが引き立つ名作である。


少年の命がかかっているとはいえ、それぞれの役職や性格が違う大の大人たちが大切な時間を割いて、真剣に、感情的に、そして自主的に議論を重ねる姿には胸が熱くなる。

そこに正解や不正解はなく、ただ話し合うことの大切さ。

陪審員制度って最初存在を知った時は「法律に詳しい訳でも無い一般人に決めさせるの?」と思ったけど、なるほどこれは尊い行為だな。


1959年公開、12人のキャストは残念ながら全員既にこの世にはいない。

そんな昔の映画だが、間違いなく今後も語り継がれるべき作品である。
倉持リネン

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