hirobey

十二人の怒れる男のhirobeyのネタバレレビュー・内容・結末

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

面白いねぇ。というのが、観終わって最初に出た言葉。

「セルピコ」や「狼たちの午後」などのシドニー・ルメット監督による1957年の作品。

十二人の男性陪審員によるワンシチュエーションドラマ。法廷劇でありながら、ほぼ会話だけで事件を再現している。蒸し暑い夏の夕方というシチュエーションも、男たちの怒りに掛かっているようで面白い。

少年による父親の殺人事件に対して、有罪か無罪かを決める男たち。陪審制の評決は全員一致が原則。扇風機も回らない暑い部屋の中で、初めはほとんどが有罪派だったが、様々な意見衝突を繰り返しながら、やがて夕立があって扇風機も回り始めると、無罪派が多数となってくる。

証拠や証言の矛盾を突いてくるヘンリー・フォンダ扮する8番陪審員の冷静沈着な姿勢とその勇気に憧れる。偏見や個人的感情で自己主張する人、多数派に相乗りする人、とにかく良く観察をしている人など、様々な人間模様が描かれている。どんな組織にでも当てはまりそうで、こういう人いるよねぇと思いながら観てしまった。果たして自分ならどのポジションだろうか。

ナイフのくだりも目撃時間などもこの場で反論するのではなくて、本来は公判の中で証明されるものではないかと気になった。そういう点で国選弁護人が機能していないという指摘のとおりだと思った次第。

我が国にも戦前に陪審制度が導入されていたようだが、現在の裁判員制度は、裁判官も一緒に評議するようになっているとのこと。以前、職場で裁判員に選ばれた人がいて、少し身近な気がしている。本作鑑賞で尚更気になってはいるが、興味本位でできることではないので、進んで選ばれたいとは思わない。
hirobey

hirobey