オールタイムベストのうちの一つ。久々に観たが、やはり何度観ても面白い。
ある殺人事件のために陪審員として集められたお互い名前も知らない12人の男たち。映画の時間のほとんどがうだるような密室で汗だくになりながらの討論シーンで、事件に関する映像は一切なく男たちの会話から想像していくことになる。
しかしこれが堪らなく面白い。何となく有罪でまとまっていた人々が次第に考えを変えていくまでの過程が実に緻密にスリリングに描かれている。会話から見えてくる人となりや人生観。
観る度にまさに人間関係の縮図だなと毎回思う。
無駄なところが全くない、中身がぎっしり詰まった作品だが、潮が引くようにさーっと静かに終息していく幕切れが特に趣深くて好きだ。脚本が素晴らしければ奇をてらった仕掛けなんか不要だということをよく示している。
これほど男たちが全身全霊で議論しても、真実はなにひとつ分からない。でもそれがいい。これは人間の本質を描く物語だから。
言葉では良さを全然表現出来ないが、これからも定期的に見返していきたい一本だ。
