バリバリタンバリン

十二人の怒れる男のバリバリタンバリンのネタバレレビュー・内容・結末

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ずっと部屋の中で事件の話をしているだけだが何故か全く退屈しないで観られた。1953年とかなり前の作品だが映像技術への依存度が低い作品は今観ても面白い。特にどんでん返しとか意外な展開は無いのだが、証拠への疑念が深まるにつれ陪審員たちが徐々に無罪の方へ傾いていく様子が面白い。名前も最後に2人わかるだけなのは今見ても斬新な気がする。

実際に少年が犯行を犯したかどうかは最後までわからず、また出ている証拠などからも本当にどっちかわからない感じだった。全然殺していても驚かない証拠の量だが、ここで大事なのはあくまで殺してないかもしれないということで、少年がその後どうなったかは作品にとってあまり大事なことではないのだろう。

ずっと有罪を貫いてきた感情的な男は最後の描写的に、息子を殺人で亡くしたのかもしれない。だとすると殺人を犯した人間への恨みからああいう態度をとることは理解できるし、途中で社会の復讐者気取りと言われたのもある意味図星でけっこうこたえただろうなと思った。それでも最後に自分の意見を変えて無罪だと言ったのは良かった。この男は自分の正義感によるものはあったが、ただの貧困層を差別してるだけの男は救えないバカだった。全員に軽蔑されて黙らされて当然。

制度的なことで言うと疑わしきは罰せずはアメリカでも同じなんだなと思った。疑わしいくらいで有罪になったら司法がやりたい放題すぎるのでそれはどこの国も多分同じなのかな。あと昔の作品ということもあってこの頃はまだアメリカにも死刑があったんだなと思ったが、調べてみたらまだそこそこの数の州で死刑制度自体はあるみたいで驚いた。(停止中ではあるのかな?)