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十二人の怒れる男のkiritoのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.8
【死ぬまでに一度は観たい映画に登録】

これは、傑作ですわ。
もれなく『死ぬまでに一度は観たい映画』に認定しました。
観てない方は是非見て欲しい。

〜あらすじ〜
ある青年の起こした殺人事件について12人の陪審員の男達が部屋で議論する話。
その制度から12人の意見が一致しないと結果がでない。
さっさと帰りたい者たちはまず投票で決めようと言い出す。
結果は、11人が有罪、1人が無罪を主張して…
彼が投げた無罪1票という石はどんな波紋を起こすのか?


この無罪を主張する1人が
『人の生死を5分で決めていいのか』といいだす。
これですよ。もうなんならこの発言が全て。
12人も人が集まれば、ちゃんと考えて答えを出してる人、なんとなく答え出してる人、なんも考えてない人が集まるのは自然の摂理。
でも、考えて欲しい。
第1級殺人は計画的殺人だから電気椅子へ。つまり死刑なんですよ?
こいつらに教えてあげたいね。
『無罪推定の原則』、『疑わしきは被告人の利益に』を!
これは「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という、近代法の基本原則である。
立証責任は検察官にあって、少しでも疑問があれば無罪とすべきなんだよなぁ。

この映画は、最初事件の全貌がわからない。
しかし、議論を進めていくうちに少しづつ明らかになっていく。
この手法がまた面白い。
しかも、ほぼこの映画は一つの部屋で行われる。
登場人物もほぼこの12人のみ。
これもいい。
しかし、本当よく練られてる脚本である。驚いた。こんな脚本書けちゃうんだねー。

突っ込みたいところ
・みんな机に座りすぎな
・部屋の中で帽子を被るのはやめような?
・あと、証拠のナイフ素手で触っていいのかw?
等もあるがそれを上回るストーリー構成。
これ全員男なのも時代的になのかね。
みんなすごい汗かいてたな。

まだ観てない人は本当に必見です!!!
時間も96分と短いので是非。
法廷物ではこれに優るものはもうでないんじゃないかな。ってくらい良く出来ていました。

以下で批判はしてますが、日本も裁判員裁判の制度が現状がある以上、他人事ではありません。
次に選ばれるのは『あなた』かもしれません。
一度この作品に触れて考えてみるのもいいかもしれません。
まあ、陪審制と裁判員裁判は制度が違いますけどね(´・_・`)


〜おまけ〜
陪審員ねー
アメリカの法廷物みるといつも思うんだけど、なんで日本は裁判員裁判導入したの?
量刑まで決めるってのは明らかに重圧すぎる。あと、扱う事件が重大犯罪ばっかり。
市民の裁判への介入が目的と言われてるけど、実際やるとしても陪審員制度でも目的達成できたと思うんだが。
確かに裁判官だって全知全能の神ではないけど、一応法のプロだし、本当に頭良くないとなれないからそもそも判断に市民を介入させなくとも良いと思うんだけどねー。
実際、先例にない判断すると高裁でひっくりかえっちゃうわけだし、過激な写真もあるから精神的苦痛を被ってる人は国に国賠の訴訟起こしてるし、選ばれると会社も休まないといけない。
こんなDMばかりのやつに税金投入してやることだったのか。
まあ最高裁自体がこの制度推してるしなあ。
2015.10.4
kirito

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