あなぐらむ

混血児リカ ハマぐれ子守唄のあなぐらむのレビュー・感想・評価

3.8
前二作の中平康から、まさかやーしんけん? の名匠・吉村公三郎に監督交代しての最終作。

舞台は横浜に戻り、モタモタとぬるいコメディが続く。これは監督交代で中平の活劇魂が欠けたのではなく、'73年という反米も反戦もどこか宙ぶらりんなまま、経済成長を謳歌してしまう日本と若者への、新藤の絶望ではないかと思わなくもない。

シリーズで一番肝心の刺青柄の衣装が削られてしまうが、その分リカのファッションが様々に変化、さながら七つの顔の女だぜ。
仲間も出来てどうにもこうにも、不良番長か女番長かはっきりしなくなるのは仕方ないが、精神病院をユートピアと名づける辺りに、やはり新藤の諦めを感じざるを得ない。有名な田中邦衛さんのシーンがあるのはこれです。