スギノイチ

富士山頂のスギノイチのレビュー・感想・評価

富士山頂(1970年製作の映画)
2.9
実際には渡哲也も勝新太郎も大して出てこない。
というよりも、豪華キャストの割にはどの役者も印象に残らない。
展開にメリハリが無く、どこまでも「出来事の羅列」なのだ。
高山病で脱落する強力(歩荷)達を見かねて、勝新がゴロツキを集めたところなんて「おっ面白いドラマが見れそうだ」なんて期待しちゃうが、「集まっただけ」で何も起こらない。
裕次郎と山崎努の関係性なんかいかにも「雇用主と現場の確執」が描けそうなものだが、2人とも立派な大人なのでちょっとした嫌味を言い合う程度。スケールの割に地味すぎるだろ…
期待していた勝新の活躍も殆ど無い。義理で出演したんじゃないかと疑うほどだ。
役名が『悪名』の主人公と同じ「朝吉」なのが哀しい。酒井修なんてこれ完全にバーターじゃ…

『黒部の太陽』も上記の傾向が強かったが、それでも親子の確執や地獄の隧道描写で見せ場を作っていた。
元の原作からしてそうなのかもしれないし、それこそ「事実に沿っているからだ」と言われればそれまでだが…
「偉業を追う」だけならこのキャストは勿体ないし、『プロジェクトX』を観ればいい話だ。
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