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いますぐ抱きしめたいのBONのレビュー・感想・評価

いますぐ抱きしめたい(1988年製作の映画)
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ウォン・カーウァイの監督デビュー作。一言…、出てくる麻雀牌がデカい。豆腐並みのデカさでした。

香港アカデミー賞と称される香港電影金像奨では作品賞・監督賞含め9部門でノミネート。最優秀美術賞、ジャッキー・チュンが助演男優最優秀賞受賞。

香港中部の雑踏・モンコック(旺角)地区で生きる若者たちの刹那の純愛と青春を描いたスコセッシの『ミーン・ストリート』(1973)にも通ずる香港ノワール。

クールな兄貴分のチンピラ・アンディは九龍から来た従姉妹のマギーと恋に落ちるが、短気な弟分ジャッキーが問題を起こし続け混乱に巻き込まれていく…という物語。

アンディ・ラウ、マギー・チャン、ジャッキー・チャン。迸るような若さと疾走感のある激しさ。それに雑踏の中でくすむレッド、ブルー、イエロー。色彩が闇に沈み、独特のムードが紡ぎ出される映像は、初期作といえどもいかにもカーウァイらしい。

青みを帯びたドンパチシーンは目が回るようなカメラのショットの数々、高速とスローモーションの使い方が楽しい。ジーンズにシャツ、髪型やサウンドトラックもベタで80年代を感じる。

カーウァイの監督処女作は、起承転結・直線に進んでいくストーリーで意外にも非常に分かりやすく、後年に続く芸術性を感じる作品だった。
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