菩薩

海をみるの菩薩のレビュー・感想・評価

海をみる(1996年製作の映画)
3.7
異性だから当たり前に敵だと言うわけではなく、同性だから当たり前に味方であると言うわけでもない。産んだ者と産ま(め)なかった者との間に存在している性別以上の隔たり。明らかに捕食者の目で幸福を食い荒らそうとする俯瞰の構図に痺れる。能天気な母とは対照的に子は何かを悟るかの様に彼女と二人きりになると決まって大声をあげて泣き出す。起こるべくして起こった惨劇。その腕に刻まれた自傷痕、舌の中間に確かな存在感を見せるピアス、呪詛が刻み込まれたメモ帳、出産を巡る生命のやり取り。受け入れてしまったのはいたいけなバックパッカーではなく悪魔であった。
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