ひでG

魂萌え!のひでGのレビュー・感想・評価

魂萌え!(2006年製作の映画)
2.5
「OUT」「グロテスク」「残虐記」「メタボラ」と一時期、桐野夏生作品に夢中になったことがある。

そんな中、この原作も読んだが、正直、桐野夏生作品にしては、物足りなかったて、印象を持ってた。

桐野作品では、どんどん登場人物たちが逃げ場のない異常な場面に落とされ、自身の人間性まで変えられていく、その異常さに息苦しかったり、胸くそ悪かったりするんだけど、読んでいるうちに、だんだんにそっちの世界に慣れていくというか、爽快にさえ感じてしまう、この麻痺感覚が魅力だったと思う。

でも、本作に描かれているのは、どっかで聞いたことある話や人物ばかりで、正直読んでて少しもドキドキしなかった。

その映画化。
想定内の出来、いや、想定内、原作よりも低空飛行の映画になってしまった。

唯一面白かったのが、最終盤の妻と愛人の直接バトル。
三田佳子の貫禄流石だわ〜!

あそこだけ、
あとは人物が全員薄っぺらい。
まあ、あえてそう描いているのかもしれないけど、その先がなく、向こう側が透けて見えちゃうから、
誰にも感情移入出来ずに、みんなちょっとずつ「嫌な奴」に見える。

金と家をせびろうとする長男、
話すと一万円要求する老婆、
その甥で老婆も放置して逃げている豊川悦司、
旦那のそばの会の面々と老プレイボーイ。

みんな感じの悪い奴ばかり。
最後には、主人公の風吹ジュンさえ、よー分からん人に見えてくる。

まあ、映画に感情移入できない代わりに、「俺も定年すぐに死ぬの嫌だなあ」なんて余計な想像だけ沸いてきちゃった。

かなり登場する奥さんの女友達も、あまりうまく使われてなく、普通過ぎ。

なんであの仕事に就きたいなのかもよく分からんし、、
まあ、一言で言えば「凡作」でした。
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