アンソニー

バルタザールどこへ行くのアンソニーのレビュー・感想・評価

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)
3.8
どこにも救いが無い。
ロバを通じて
人間の醜さが浮き彫りになる作品。
登場人物のあれこれの中心に
ロバを置くのってあまりにも斬新。

ロバに対して優しかった人が
不幸な人生を辿って
逆に酷い扱いをした人の方が
何の罰も無く生きているように感じた。
救いが無いように思ったのは
これが原因だと思います。

ロバはただ生まれて死ぬだけ
環境は変化するが
ロバは純粋で動物的で普遍的。
しかし、周りの人間たちは
醜くなっていく。
そんな対比が効いていたなと思った。

キャストは皆素人で
ロバすらも調教されていなかったらしい。
そのせいか、映画であることを
忘れてしまった感じがする。
斬新な撮影方法なんて無くて
シンプルな構図で淡々と映す。
それが良かった。
この監督な他の作品も気になりました。