米レスビアン実験映画の旗手バーバラ・ハマーの初長編ドキュメンタリー。1993年ベルリン映画祭北極熊賞、マドリッド女性監督映画祭ベストドキュメンタリー賞受賞作品。1995年山形国際ドキュメンタリ-映画祭ではハマーが審査委員長を務めた。
同性愛者の隠蔽された歴史を、 アメリカ初のゲイ映画『Lot In Sodom』(1933)のアーカイブ映像や、演劇フィルム、様々な証言音声などから綴った実験的ドキュメンタリー作品。
ザラついたモノクロームの映像の中で動くレズビアン、ゲイの美しい姿が切れ味のある証言と共に次々と湧き出てする。
高齢のレズビアンカップルの仲睦まじい様子が印象的だった。人間の歴史は長らくレズ・ゲイなどが病気のように扱われ、犯罪行為と見なされていて、劇中では男の格好をしているだけで警察に捕まる、道を歩けば「ホモ女」「薄汚いレズ」と罵られ、背後から悪ガキに襲われたとのストーリーもあった。
流れるジャズ音楽がとても素敵。同性愛の暗示や隠語を含んだジャズやブルースの“シシー・ソング”の古いレコードの復刻盤『AC/DCブルース、ゲイ・ジャズ』からハマー自身が選んだらしい。