倫理的にアウトなんですが、岩下志麻さんの演技が凄い。子供相手に取り乱すと言うより、冷静に冷たく、非道。やっぱり大女優様です。勿論、緒形拳や他キャストも文句なしなのですが、子役の演技力が…。昨今の子役の演技に慣れている身としては、残念に思いました。まさしく「鬼畜」と言う映画ですが、見応えがあり私は好きでした。
川越で印刷工場を営む竹下宗吉は、7年前から菊代と言う愛人を囲い、宗吉との子供が3人いた。6歳の長男·利一、3歳の長女·良子、次男·庄二は赤ん坊。宗吉の工場が不景気になり、菊代への仕送りが出来なくなった。耐えかねた菊代は、宗吉の所に行き、子供達を押し付け失踪。妻お梅は、彼と子供達にきつく当たる。そして、宗吉とお梅は…。
ネタバレ↓
憎き愛人の産んだ子の世話等、全くする気のないお梅。あの女の顔を思い出すと、育児放棄&虐待をします。お釜のご飯で遊んでいた次男にそのご飯を半狂乱で喰えと口に捩じ込む姿は凄まじく、良子の髪が臭いと言って、洗剤を頭から掛けます。次男はビニール性のカバーの下で亡くなるのだが、そのカバーはお梅がわざと落とした。だが死因は衰弱死だったが…。
次は、良子を捨てに行く宗吉。捨てられる気配を察知した良子は、中々、離れようとしなかったが、東京タワーで置き去りにされた。
そして、利一。青酸カリを差し出すお梅。パンの中に入れて食べさせようとしたが、苦くて吐き出した利一の口にお梅同様、捩じ込む宗吉。が、これは失敗。
次は、何処かの崖から突き落とせば良いと言い、宗吉は、利一を連れあちこち突き落とす場所を探します。結局、福井で寝ている利一を崖から落としますが、利一は助かった。利一は、警察で口を割らず、持っていた石から、宗吉の印刷工場がバレて捕まった。それでもラストに父ではないと言い張る利一。すまないと謝る宗吉で終わります。
最後の旅で、宗吉は利一への愛が深まっていたのに心の弱い宗吉は殺す事を選択し、心の強い利一は、父ではないと口を割らない。対比が刺さりました。利一には幸せになって欲しい。この作品、中々の胸糞映画なのだが、私は子供を捨てた母が一番許せ無かった。あの女、愛情を持って育てたと思えない。あっさり捨てて行って知らん顔。なので序盤は、お梅にすら同情の気持ちが芽生えた。勿論、エスカレートして行ってトンでもない女でしたが…。後は申し訳ないが、子役が下手過ぎて、映画が台無しだったけど、逆に感情移入し辛く、観やすかったのも否めない。現代ならコンプラで絶対無理な事だらけの昭和の作品は刺激的で見応えありました。
※あの口に捩じ込むシーンは、あの子役達がさすがに心配なレベルだった。
