Jumblesoul

鬼畜のJumblesoulのレビュー・感想・評価

鬼畜(1978年製作の映画)
3.5
実際にあった事件を元にした、松本清張の傑作短編小説が原作。
同じ清張原作の『砂の器』を、まるで違う話に改ざんして映画化した野村芳太郎が監督なので嫌な予感がしたが、本作はほぼ原作に忠実になっている。
ただし、原作では石材のカケラが石版印刷に使うものだと判明したところで終わっているので、宗吉が逮捕されてからはオリジナルの話。利一が、その人は父親じゃないなんて、お涙頂戴の話を清張が書くわけない。
結構重要な、宗吉が浮気するまでのプロセスがカットされているため、物語全体の深みが乏しくなった気がする。そして映画なので仕方ないが、宗吉の正妻と妾は、岩下志麻と小川真由美という美女ではダメなのだ。このキャスティングで、いかにも作り話の感が強くなってしまった。第一、岩下志麻みたいな綺麗な奥さんがいて、浮気する男はいないでしょw
会社の重役や自営業の経営者なら、妾の一人を囲って当たり前という時代の悲劇でもあった。原作にも出てこないが、東京に置き去りにされた長女は、その後どうなったのだろうか。
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