うにたべたい

デビルマンのうにたべたいのレビュー・感想・評価

デビルマン(2004年製作の映画)
2.1
永井豪原作の人気マンガ『デビルマン』の実写映画化作品。
製作費10億円をつぎ込んで作られた超大作で、デビルマンへの変身シーンはもちろん、デーモンとの戦闘シーンなどでVFXがふんだんに使われています。
当時、新人俳優だった伊崎央登、伊﨑右典兄弟を主演に大胆起用し、納得のできるクオリティーを求めた末、公開日程を延期して、満を持しての劇場公開となりました。
だが、製作費10億円に対して興行収入5.2億円という大失敗に終わり、映画自体も酷評の嵐。
悪い意味で"誰も知らない知られちゃいけない"映画になってしまいました。

評判だけは聞き及んでいたのですが実際観たことはなく、今更ながら観てみることにしました。
そんなわけで、スタートからハードルを限界まで下げた、ダメで元々での視聴です。
また、私自身デビルマンはタイトルと主題歌くらいしか知らない状態での視聴開始ですね。

ストーリーはマンガに準拠しているそうです。
主人公の高校生「不動明」は、両親を亡くして牧村家に引き取られています。
親友に顔のよく似た同級生「飛鳥了」がいて、今日も了の運転するオープンカーで一緒に登校しています。
明は大人しい性格が災いして、いじめにあっているのですが、元いじめっこの「牛久雅夫」は、過去明をいじめていたら、報復に了に植木バサミで指を切断されており、明をいじめている連中に警告をします。
この時点でツッコミどころ満載ですね。
その後も、授業中の明の元に了がやってきて、授業中だというのに連れ出し、おもむろにヘッドディスプレイを装着させて気持ち悪い映像を見せるなどやりたい放題。
これ原作準拠ってほんとですか?
そしてすったもんだの末に明は悪魔・アモンと融合してデビルマンになるのですが、重要なデビルマンになった経緯は観ててもよくわからなかったというのが正直なところです。
原作を読んでいたら理解できたのでしょうか。

デビルマンの造形は非常にかっこよく、評価できると思いました。
不動明役の伊崎央登も、ビジュアル面で原作の絵と比較すると非常にマッチしていると感じましたが、いかんせん演技が酷い。
演技がどうとかで映画を見ない私でもわかるくらいセリフが棒で、感情が乗ってないセリフというのはこういうことをいうのかというのがよくわかります。
時々入る不動明の絶叫シーンはとにかくやばいとしか形容のしようがなく、稲刈りシーンでの 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 という突然のシャウトは本作のクライマックスです。
名作を期待して劇場に足を運んだ方もいたと思うと、いやあ罪作りな映画ですね。

酷評されるのも仕方ないと思いましたが、一方で過去最低かというと、もっと酷い映画はいくらでもあると思いました。
よくネットではネタにされるデビルマンのラストシーンも、「いやそうはならんだろう」と思いつつも再現されていたし、私的には終盤30分くらいは面白かったです。
また、先にも書きましたがデビルマンの造形が醜くもカッコよくて、ダークヒーロー感があって特にラストバトルも盛り上がりました。
ただ、せっかく盛り上がったのに、途中で不動明の 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 が入るので、そこで全部持ってちゃうのが残念です。
丁寧に状況説明をしてくれるジンメン戦、なんのためにあったのかよくわからないシレーヌ戦も、特撮部分はがんばっていたと思います。
特撮はがんばっていたのですが、やっぱり話が飛びまくってよくわからなかった。
私が観たのはなんだったのか、誰かに教えて欲しいです。