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ガッジョ・ディーロのtaominicocoのレビュー・感想・評価

ガッジョ・ディーロ(1997年製作の映画)
4.5
フランス人のステファン(ロマン・デュリス)が父の面影である『ノラ・ルカ』という歌手を探すため、(多分)ルーマニア付近のロマ族を訪れるというロードムービー。

路上で途方に暮れていたステファンは、とある老人に拾われ、一晩泊めてもらいます。
それはいいけど、その後、集落の人にめちゃくちゃ怪しまれてた。

「ガッジョ・ディーロ」はロマ語で、愚かなよそ者って意味だそうです。

こいつは背が高すぎる、ロマ語が話せないと、みんな大混乱。
あんな状況でニコニコしていたステファンは、かなりの強心臓の持ち主です笑

そんな気のいいステファンは、徐々に集落の人々とも打ち解けていきます。
特に、フランス語が話せるサビーナ(ローナ・ハートナー)とはお互い気になる仲で・・・。二人の関係にご注目❤️

ちなみに、ステファンとサビーナ以外は、全て、リアル・ロマ族のジプシーなんだそう。こういう作品、個人的にものすごく好きなんです。


中盤以降が、畳みかけるように面白くなります。特に、故人を悼むロマ族の歌とダンスに魅了された。

本作で、中東欧に住むジプシー・ロマ族の存在を初めて知りましたが、彼らの歌とダンスはすごく魅惑的でした。エロティックで。

でも、ロマ族はルーマニアで根強く差別の対象になってきたようで、その悲しみも劇中で強く表現されていました。

深い悲しみから生まれた歌は、エモーショナル。人を虜にしますが、彼らだけが歌い継げるもの。そう悟ったステファンがラストで魅せたダンスが、秀逸でした。

ロマ族に敬意を示せたステファンは、「愚かなよそ者」ではなかったのかも?

笑いあり、切なさもあり、最後は温かい気持ちになれる、なかなかの秀作です。
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