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ガッジョ・ディーロのkotaのネタバレレビュー・内容・結末

ガッジョ・ディーロ(1997年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ロマ音楽に誘われて鑑賞。

「ノラ・ルカ」を探してさまよい辿り着いた、屈託のないちょっといたずらっぽい笑顔が印象的なロマン・デュリスの、ロマの村での滞在記。文化人類学的な作品。

酒、感情、表情、ジェスチャー、音楽、踊り、ブリコラージュ。
言葉より先に人と人をつないでいくもの。そして次第に溶け込んでいく。
飲めなかった酒をいつしかともに飲み、喜びをともに表し、同じ歌に涙し、同じ言葉を交わすようになっていく。

だけれど、
通じ合えたと、つながれたと満たされる矢先、彼我を隔てる凄惨な現実を叩きつけられる。

表面的なことを見聞きして知ったつもりになり、
一時の感情を共有して知り合ったつもりになり、
つながりをもって愛し合ったつもりになり、
だけれどそんな程度では決して1つにはなれない、彼我を別つ民族の歴史の圧倒的な壁。

僕はまだ、世界のことをちっとも知らない。
あなたのことを、ちっとも知らない。
あなたたちのことを、ちっとも知らない。

それでも壁を越えていきたくて、自分の愚かさを葬る。彼らのやり方で。
村へ辿り着く道すがらの道標を、今度は己の未熟さを捨て去る墓標にして。

人とつながっていくことは容易くないと教えてくれる。
だけれどそれが身に沁みたときにはじめて、つながっていく道がひらきはじめるのかもしれない。
そんなほのかな希望を余韻に残す。

しかしちょっと解説がないとラストが理解できなかった〜、悔しい。

ロマ、ジプシーに興味をもっちゃったあなたにおすすめですよ。
ロマ音楽がフラメンコのルーツだってのも納得。

…しかしロマン・デュリスはスパニッシュ・アパートメントと基本的なキャラ設定が同じ感じで密かに笑える。
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