神話とろくでもない人間は確かにラング映画だが、これは物語に相応の気迫が足らなかった印象。
大雨や稲妻、秘宝といった要素は確かに画面を活気づけるが子役は無論、脚本すらスチュワート・グレンジャーの嫌らしさに攫われてしまうことの方が多い。ただラストは全てを帳消しにするほどではないが良く、序盤の踊り子のイメージは『メトロポリス』から『大いなる神秘』へ、動的な誘惑として一時期のハリウッドでは途絶えつつもここで見事に復活を果たしている(逆に静的なそれは『メトロポリス』『スピオーネ』『飾り窓の女』等における視線である)。