西村大樹

嗚呼!! 花の応援団の西村大樹のレビュー・感想・評価

嗚呼!! 花の応援団(1976年製作の映画)
4.0
10年ほど前まで、自分は曽根中生監督の作品に対し、ひとつの偏見があった。それは、コメディ作品を撮る監督というイメージである。もちろん、『天使のはらわた 赤い教室』という傑作も観ていたし、コメディでありながら無常観あふれるラストに寂しさを感じる傑作『(秘)女郎市場』も観ていた。しかし、どうもコメディが苦手な自分は忌避していたため、まだ未見の作品がロマンポルノ以外にも大量にある。
その曽根監督=コメディ監督のイメージを自分の中での決定打となったのが本作であったりする。
原作を知っていると、不条理ギャグの連続で、映画にするのはかなり難しい……いや、人間に演じさせるのはかなり難しい作品である。
それを田中陽造の脚本は原作の物語を上手く抽出しながら、映画的な見せ場も入れ込むことにより、あの原作を見事に映画にすることに成功している。
曽根監督の演出も、脚本に盛り込まれた映画的な展開をさすがの腕前で見せ、少しもの悲しいシーンを造り出すことに成功している。

想定外の傑作。
西村大樹

西村大樹