せみ多論

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女のせみ多論のレビュー・感想・評価

3.5
ハリウッド版があまりにも好みの一本だったので、続けざまにスウェーデン版も。

ハリウッド版もスウェーデン版も原作は同じといえども、監督の色が出ているというか、演出や音楽、脚本などなど、違いが顕著なので、印象もまた全然違うものに。

特に気になったことといえば、こちらのほうは全体的に重々しいような印象を受けた。音楽の印象も大きいのかもしれません。ハリウッド版は結構はっちゃけてましたしね。

そして、これは良いところの様で悪いところの様な気もするのですが、物語のサスペンス部分が比較的丁寧でわかりやすく作られているような印象。人物相関もハリウッド版に比べてかなり理解しやすくなっていたような気もするが、観たばかりの内容だったからかもという気もしないでもない…ただそういった解りやすさ、視聴する側に対する配慮が逆に、作品を凡庸というか、平板な印象にしているような気がしてしまう。

ハリウッド版は正直なところ、長いなという印象を最初受けた、しかしながら今すぐにでももう一度観たいという中毒性のようなものがある。音楽であったり、斬新なシーンの切り方であったり、リスベットの魅力であったり。
一方でスウェーデン版はあっという間に二時間半が終わってしまった。しかしもう一度観たいかというと、あまり思わない。言ってしまえば普通に面白いだけの映画だったという印象。
どちらが好みかは人によって分かれるのは間違いない。
ただあたくしはハリウッド版が大好きだということです。

そして両者を比べて観ると、脚本や演出次第で、同じ原作でこうまで違う印象を与えるものかという、面白さを感じずにはいられない。

ハリウッド版のミカエルは確か離婚しているという話は出ていなかったような気がするし、その上で会社の同僚と長年浮気はしている、まぁそんなチャラい部分がある印象であったが、スウェーデン版では離婚はしていると明言しているし、同僚との関係もかなりソフトに描かれている、というよりほぼ描かれていない。印象としては気のいいおじさんくらいの感じである。

リスベットもハリウッド版では、ヤバさが際立っているし弱さも感じる。口数は少なくコミュニケーションが苦手なのも伺える。
一方でスウェーデン版はよく喋るしパワフルだし、ハリウッド版と比べてよく出来た助手感が強く別人みたいな印象。

ストーリーも端々が結構違うので、やはり原作を読まないことにはいかないですな。何といってもラストが全然違うじゃないのよ。スウェーデン版はほんと良い子ちゃん映画という感じですよ。

まぁつまらなくないというのは間違いないですが、どっちが好きかといえば圧倒的にハリウッド版。そんな感じですかね。
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