♪ 寒い夜だから 明日を待ちわびて
どんな言葉でもいいよ 誰か伝えて
フィンチャー版は観賞済。
なので、どうしても“見比べる”ように臨んでしまったのですが…やはり、オリジナル(本作)のほうが面白いですね。リメイクであるフィンチャー版は本作の軛から抜け出せていません。
勿論、オリジナルとリメイクは別物。
というか、別物にしなければリメイクを作る意味はないと思います(吹替えが嫌いだから自国で作り直す…というのは傲慢ですよね。特にアメリカはグローバリズムを推し進めた国ですから)。
そして、本作とフィンチャー版の大きな違い。
それは主人公二人(ミカエルとリズベット)の関係性。本作はミカエルが徹底的に“良い人”であり、リズベット上位の印象が強いです。
特にベッドシーンに至る流れは顕著ですね。
あれは恋でも愛でも友情でもなく、単純に“性欲を満たす”ための行為にしか見えませんでした。他にも腋毛を処理しないことや、髪型や行動など“一般的な女性”ではないのは確実。
それに比べてフィンチャー版の場合。
かなりオリジナルに忠実なビジュアルでしたが、ルーニー・マーラが持つ“子犬のような雰囲気”がリズベットの中性的な印象を緩和していました。
もっと違うのがミカエルの描き方。
ダニエル・グレイグの存在感と相俟って“揺るがない”印象が前面に出ているんですね。オリジナルと違って家庭を持っているのも違います。“帰る場所”が用意されているんですね。
この違いはとても大きいですよ。
下地となるミステリの部分は大きく変わっていませんからね(オリジナルの方が猟奇的な雰囲気は強く、フィンチャー版は犯人の盛り付け方が特徴的という違いはありますが)。ちなみに僕はオリジナルの関係性のほうが好きです。
まあ、そんなわけで。
リメイクされるのも頷ける…というか、北欧ミステリブームの火付け役に相応しい物語。かなり“クセが強い”ですが、寒々しい闇から生まれたダークヒロイン(ヒーローと呼ぶべきか)の誕生譚として楽しむならば、リメイクではなくオリジナルをオススメします。