三四郎

乙女のゐる基地の三四郎のレビュー・感想・評価

乙女のゐる基地(1945年製作の映画)
2.5
「空から轟沈」の歌が聞けて良かった。このとんでもハップンな歌詞の作詞者が日本を代表する詩人西條八十というのが不思議でならないが、旋律は素晴らしいんだよなぁ。
半年後には「リンゴの唄」で有名な松竹映画『そよかぜ』の挿入歌として全く違う歌詞がつけられ歌われている。

「空から轟沈」の2番と3番がこの映画の中で歌われていた。
桜散るよなあの体当たり
邪魔だそこのけグラマン機
目指す空母をドカンとやらにゃ
大和男子の名がすたる
轟沈轟沈空から轟沈

富士と筑波を両手に抱き
大和男子は空の上
皇國になった愛機と共に
憎い米英ひとたたき
轟沈轟沈空から轟沈

これが半年後に公開された『そよかぜ』では、
ポプラ並木にそよ風吹いて
小鳥さえずる愛の歌
にっこり笑って足並みそろえ
越えてゆこうよ野も山も
青春青春たたえよ青春
…となるのだから興味深い!

後の「リンゴの唄」にも通じる旋律もこの映画『乙女のゐる基地』の中にあり、なかなか面白かった。ストーリーは退屈だけど…、お国の為に頑張っていたんだよね。空襲や原爆などで亡くなった少女たちの中にもこの映画を観ていた子たちがいるかしらと思うとなんだか切なくなった。
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