violet

カールじいさんの空飛ぶ家のvioletのレビュー・感想・評価

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)
4.0
Pixar随一のエモーショナルな作品な気がする。幸せと喪失のコントラストがたった5分で鮮やかに描き出されるシークエンス。ただただ泣ける。

大量の風船で家が飛ぶとかいう超ファンタジックなお話なんだけど、描こうとしているのはとても普遍的なことで。「人生観」っていう幅広いテーマな分、すごくあっさりして見えるけど、実は細かな演出がめちゃくちゃ多くてその一つ一つが刺さる。

家の中にあった多くの家具が、カールの心の重荷を示すメタファーとして使われているのが見事だった。思い出のソファーを外へ放り投げるところでグッときた。この映画、ラストカットにしてもそうだけど、言葉にせずに、モノを数秒映すことでメッセージを伝えようとするシーンが多い。めっちゃ大人向けやん。

夢が叶わなかった未練も分かるけど、エリーも生きるところまで生きたんだし、そんないつまでも鬱屈としてないで…って、、すっかり心を閉ざしてしまったカールに対してあんまり共感できなかったのはある…

その点ラッセルはとっても無邪気で素直で心優しい子。彼の生い立ちや家族関係が深くまで語られなかったのはちょっとモヤモヤしたけど、最終的にカールと仲良く楽しそうにやってたからまあいっか!
かつてカールとエリーは子供に恵まれず、諦めて2人で暮らすことを選び、それはそれで幸せだった。だけど年老いてから孫のような男の子が突如現れて、家族のような関係性になってく。このアイデアが最高に素敵だよね。


ちゃんと観たのは今回が初めてだったけど、この歳になって観てよかったなって心底思う。大人になったからこそ感じられる感動的なポイントが、要所要所に散りばめられてる作品だから……

🏠🎈
violet

violet