こつぶライダー

カールじいさんの空飛ぶ家のこつぶライダーのレビュー・感想・評価

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)
3.8
冒頭10分が神過ぎて泣ける。
それ以降は毛色を変えて冒険ものになるが、ハラハラドキドキ展開とまではいかず。
あくまでも心温まる、ディズニーらしいハートフルな作品だ。
ラストには「冒険するのに年齢は関係なく、チャレンジすることの大切さ」を感じられる。

私が驚いたのは、老人の持つパーソナリティをしっかり描いているところ。
パートナーとの死別だったり、社会からの断絶、老い先の孤独感、過去への後悔、肉体的な老化と精神面のギャップ…etc.

主人公カールが愛する妻エリーと過ごしてきた一生は、涙無しには見られない。
誰しもがカール、もしくはエリーの立場になって、人生を味わったかのような錯覚をする。それくらいにリアルで心動かすアニメーションを短編で作ったピクサー社の優秀さったら!

しかし、本題はここから。
いかにしてカールは未来を生きれるのか。
彼は、妻エリーとかつて描いた夢である大冒険に出掛ける。
しかも、足の悪い彼は家ごと移動する。
その方法が、斬新にも何個もの風船をくくりつけて飛んでいくのだ。
大人からしたら「んな、馬鹿な!」となるのだが、子どもからしたら夢のある話。カラフルな風船が、思い出深い家ごと夢の地に運んでいく様に、大人ながら心動かされた。

割と簡単に着いてしまった約束の地では、お約束のドタバタ劇が待っていた。
まさかの行方不明の探検家が未だに存命であることや、彼とカールの対決で見られる老人とは思えない身体能力の高さなど、もはやアニメやディズニーだからと言って許容できる範囲を超えてきてしまい、そのあたりが個人的にはマイナスでした(笑)

家財道具を捨てたり、雲の中に消えていく家を眺めるシーンには、切なさを感じつつも、あくまでも未来を目指す話だと、後を引かないさっぱり加減は好印象でした。
ただし、ここまでの感動の持っていき方が、冒頭の過去シーンくらいからしか引っ張れておらず、もう少し中盤で話をこねくりまわしても良かったかなーと思っちゃいました。

大好きなピクサー作品の中でも、自分の中では上位の作品。老若男女楽しめる作品だと思います。
老人が活躍する作品に悪い作品はありません。
こつぶライダー

こつぶライダー