猫山

カールじいさんの空飛ぶ家の猫山のネタバレレビュー・内容・結末

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

アホみたいに泣いてしまった

タイトル的にメインは家が空を飛んで以降なんだろうけれど、空を飛ぶ以前の子供時代や夫婦時代が最高に良い。
ほんの10〜20分くらいだったのだが、その時点で3回は泣いてしまった。

もちろん後半もとても良かったのだが、前半部分があったからこその感動が凄まじかった。
子供時代の出会いから各々の夢が2人の夢になり、2人で夢を支えにしながら支え合って生きていく。
それを言葉を用いずに曲でダイジェスト的に紹介しているのに、行間と言うか、同じ行為をずーっと長年続けている愛とか素敵さがギュッと詰まっている。
むしろ言葉がないからこそ、視聴者が勝手にフレドリックセン夫妻の会話や想いを想像できて良いのかもしれない。


思い出を支えにして、もしくは縋って、あるいは縛られて生きていくカールじいさんがエリーへの言葉を口にする度にこっちは涙腺に打撃を受けるからたまったもんじゃない。
そんな彼が思い出の詰まったものを捨て、次世代の、なんなら次々世代のラッセルに託して前を向くのを、親のような気持ちで見守ってしまう。

夫婦時代に2人を繋いだマンツさんが所謂悪役ポジションだったのも、個人的は少々ショックだったのだが、「カールじいさんが思い出に縛られ続けないため」という観点ならばまぁその方がいいよなぁとも思う。
何より最後の落下は風船をつけた状態という、ギリ生きていそうな、その後の彼の人生も想像できるのが良い塩梅だった。


おそらく、コメディ感のある映画じゃなかったらここまで泣きはしなかったように思う。
ほどよく周りのみんなが明るいのに対し、カールじいさんの湿っぽさがギリギリ丁度よく、バランスが取れているなぁと思った。

鑑賞後の余韻があたたかい、素敵な映画だった。
猫山

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