パーティーでひとりぼっちで座っているかわいそうな山村聰が、後に杉葉子に言うことばが実に大人っぽくてかっこいい！

Twitterでこの2人の関係は「すずかけの散歩道」の司葉子・モリマの関係と似ていると書いている人がいて、なるほどなあと思った。

「映画で愉しむー石坂洋次郎の世界」＠神保町シアター

磨りガラス越しとはいえ湯船から急に立ち上がる木暮実千代に驚くけど、さらに驚くのは明らかに水着着用なこと。この映画を観た100人が100人不思議に思うであろう珍シーン。

いきなり服を脱いでトランクス姿で泳ぎ出す池部良と志村喬にも唖然。仰向けでクルクルと泳ぐ志村喬は確かにキュートでレアショットだけど、この映画には要らなかった。

木暮実千代と上原謙の仲を疑う沢村貞子の段階クローズアップなど他にも異様な演出がみられて、それがまったく成功していないために、ただでさえ退屈な話に加え、とにかく辛かった。

杉葉子が山村聰にフラれて泣くだけ泣いた挙句、翌朝ケロッとしてパジャマ姿で居間で体操しているシーンには思わず顔がほころんでしまった。
「だから人間なんて大キライ！」とか「私に尊重される人格なんてあるかしら…？」のような、バー(クロネコ)のママのくせしてネガティヴなワードを連発する高杉早苗も素晴らしい！
だけどそれ以外は心に響かなかった、私にとっては千葉泰樹の珍しい失敗作。