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ある日どこかでのkuuのレビュー・感想・評価

ある日どこかで(1980年製作の映画)
4.0
『ある日どこかで』
原題 Somewhere in Time.
映倫区分 G.
製作年 1980年。上映時間 103分。
『地球最後の男オメガマン』(『アイ・アム・レジェンド』)や『激突!などで知られるSF作家リチャード・マシスンの小説(原作『Bid Time Return』既読)を映画化したタイムトラベル・ファンタジー。
主演は『スーパーマン』のクリストファー・リーブ。
監督はヤノット・シュワルツ。

1972年、母校で自作舞台の初演を迎えていた新進劇作家のリチャードは、白髪の老婦人から古い金時計を渡される。
その8年後、母校を再訪した彼は街のホテルにかかっていた肖像画に心を奪われる。
そこに描かれた美女は、かつての老婦人の若き日の姿だった。。。

今作品の主人公は白髪の老婦人から古い金時計を渡される。
小生も十代の時に京都清滝にある空也の滝と呼ばれる所に訪れた際に(近くに稲川淳二もびびった心霊スポット清滝トンネルがある)、滝を守る婆さんに、いきなり竜神さまの子と崇められた。
沢山のお供えをもらったが、未だにその婆さんとのロマンスはないし、気味が悪いしそれ以来訪れていない。
今作品の主人公にはなれないし、若かりし日のジェーン・シーモアのような美女と巡り合えない🥺。
また、福岡と広島で各々違う占い師には、不動明王が付いてる(憑いてる)と、見て欲しいと云ってないのに、お節介にも云われ、各々石とか貰ったが今はない。
その婆さん方とも未だにロマンスの欠片も、生きてるのかすら知らない。
『007』ボンドのように占いコスチュームをきた美女(ボンドガールをジェーンシーモアが演じてたと思います)に夢でも出逢いたい🥺。
現実はシビアである。
そんなシビアな現実を逃避させてくれるのが映画。
その数ある映画作品のなかでも今作品はとても夢があり、夢が膨らんだ。
寝る時、小生も念じてみようかな清滝にするか、福岡にするか、広島にするか。。。

今作品はストリーミング配信で出会った珠玉の逸品。
多くの方が、映画において、作品に使われてる音楽に敏感だと思います。
また、多くの映画には、音楽は重要な役割を担ってると思う。
今作品もまた音楽が共にある作品と云えるし、ジョン・バリーの音楽は素晴らしく、瑞々しく、心を揺さぶり、今作品には不可欠なものでした。
善きサウンドトラック音楽がそうであるように、美しい音色でドラマティックに感動を盛り上げる音楽を今作品から消してしまったら、作品全体の感情的なインパクトが失われてしまうと個人的に思うほど。
エンド・タイトル・テーマ『Somewhere in Time』(ある日どこかで)ジョン・バリーの感性もさることながら、演奏のロジャー・ウィリアムズもほんと良い善すぎる。
また、劇中で何度もかかるラフマニノフの『パガニーニの主題による変奏曲Op。43、バリエーションXVIIIアンダンテカンタービレ』のロマンティックなメロディーも胸がズキズキと痛むほど良かった。
原作やと、マーラーの曲やったと思うが、音楽担当のジョン・バリーの提案で、このラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』を使用することになったらしい。
今作品を見た後では、ラフマニノフしかあり得ないと思えてならない。
それだけではなく、なんちゅうても今作品はクリストファー・リーヴ、ジェーン・シーモア、クリストファー・プラマーといった俳優さんたちの力強い演技が、この本質的にありえない物語(小生の身には微塵にも起こらないし)を信頼に足るだけでなく、好ましいものにしている。
また、ミシガン湖畔のマッキナック島にあるグランド・ホテルという素晴らしい舞台も特筆すべきなんじゃないかな。
過去(1912年)においてホテルの側の湖畔で佇むエリーズを見付け出し、彼女とリチャードがファーストコンタクトでかわす言葉は初々しく、姿は絵になる。
スッキュンバッキュンもんでした。
この実際のホテルのオーナーは、撮影を快く迎え入れ、ホテル内の施設を無償で提供したらしい。
ロケーションのタイミングもなんと幸運なんやっ。
作中の現代(1980年)を描いた映像は、三十年余りたった今見ると、古くさい感じは否めない。
しかし、作中過去(1912年)を描いたホテル含む世界は、今でも十分スタイリッシュな感じで、全然違和感がくむしろ温かみさえ感じた。
三十年余り前の当時見てたならどう感じたのだろう。
欲を云うなら劇場で見たい。
また、ジェーン・シーモアが美しすぎる。
彼女が出演した映画って、『007』シリーズロジャームーアやったかの何作目かのボンドガール(タロット占いしてた美女)と、『グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告.』のマダム然の彼女しか、直ぐに思い出せないヒヨっコですが、今作品は彼女の輝かしい栄光の一つと云える作品なんちゃうかと推測します。
彼女のキャラ効果で元々美しい絵が1.5倍は美しくなってた。
なんと完璧な配役なんやとタメ息が何度もでたほど美しい。
舞台での彼女の短い独白は、それだけで入場料を払う推しのような価値があるちゃうかな。
しかし、なんちゅうても今作品の最大の成功は、偉大な愛の深遠さってとこに光を当ててることにある。
ほとんどの人が一生に一度も、自分の目で見ることも、ましてや経験することもないほど稀有なこの高次元の愛は、確かに存在する。
すると信じたい。
多くの人がそれを切望してる。
それは、見識が微妙なレベルまで進化し、あらゆることが可能な次元に心を開いた魂たちの空中の夢ともいえるかな。
なんか宗教かかってるかな。
まぁ、だからこそ、今作品はカルト的な人気を博してるのも頷ける。
どうあれ、個人的には胸をうたれました。
余談ながら
個人的に、晩年のエリス・マッケンナを演じた女優スーザン・フレンチの台詞に惹かれました。
彼女の台詞は、全編でわずか4単語しかなかった。
それは、彼女がリチャード・コリアー(クリストファー・リーブ)にアンティークのフォブチェーン付きの金の懐中時計を渡すときに発せられた言葉。
この台詞は"Come back to me," (私のもとに戻ってきて)だけ。
非常にシリアスな重要なシーンやったと云える。
その台詞のみで重要な役割を見事担えるスーザン・フレンチって女優さんは天晴れ!!と思いましたよー。

余談の余談ながら
原作者のリチャード・マシスンがこの小説を書いた時、家族でネバダ州ヴァージニアシティのオペラハウスを訪れたそうです。展示されていた資料の中にひとりの女優の写真に目がいった。
その女優の名はモード・アダムズ(1872.11.11~1953.7.17)。
彼女のあまりの美しさに、時を旅して会ってみたいとの思いで書いたのが、原作の『Bid Time Return(Somewhere in Time)』。
この女優モード・アダムズを検索して見たら惚れ惚れする美しさでした。
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