Tully

ある日どこかでのTullyのレビュー・感想・評価

ある日どこかで(1980年製作の映画)
4.5
肖像画に描かれた昔の美女に恋をしてしまった男性が、時を越えて女性に会いに行くという物語。「美しい映像」 「美しい女性」 「美しい男性
」 とにかく綺麗な映画。物語は現実のような幻のような、甘いんだけど苦味が残るチョコレートのようだ。手の届きそうな、画の向こうにいる彼女。でも決して触れることはできないし、愛し合うなんてこともできない。自分の思いが一方的に相手に募る。その彼女が自分と同じ世界に住んでいるのであれば、例えそれがどんなにかけ離れた存在であろうと、限りなくゼロに近い可能性であろうと、その人と結ばれることは可能なのだ。「運命の人」 って言うけれどその人物がもしも、昔の人物だったとしたらどんな気持ちになるのだろう。愛する思いが、時をも超える。実際に時を超えたのかどうかこの映画では、霞ませた形で描いている。敢えて、見る側に考えさせるためだろう。たとえ夢であっても、たとえ幻であっても会いたい女性がいる。クラっとするぐらいベタで直球的な愛の表現なのに、映画の圧倒的な力に負けて素直に感動してしまう文句なしの恋愛映画の大傑作だ。
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