のりまき

スリング・ブレイドののりまきのレビュー・感想・評価

スリング・ブレイド(1996年製作の映画)
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腕のある役者は一度は障害者の役に挑戦したいものなのかもしれないが、ビリー・ボブ・ソーントンの場合、ちょっと順序が違う。
まず独り舞台の脚本として仕上げて、短編映画を製作、そしてそれを長編化したのが本作。当然、監督、脚本、主演を自らこなした。この作品によって広く認知されるようになったのだから、成り立ちから逆。

12歳で母とその浮気相手を殺してしまい、ずっと刑務所にいたカール。釈放され、町で暮らすようになると次第に彼を認めてくれる人が現れる。1番親しくなったのは母子家庭のフランク。2人は親しくなり、互いの秘密をうちあけ合う。しかしフランクの母の恋人、ドイルの存在が影を落とす。

先が不吉なのはフランクが登場したあたりで何となく嗅ぎつけてしまうが、ソーントンの力で見入ってしまう。脛、口、首の演技を駆使して天使のごとき父性というのをやっている。

一方、諸悪の根源、悪魔のごとき父性をやってるのがロバート・デュヴァル。恐らくオファーされてこの小さな作品に参加したのだろう。何、その侠気。惚れてまうやろ。『レザボアドッグス』のハーヴェイ・カイテルとか、こういう話に弱い。

温めてあっただけあって納得のいく作品。
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