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スリング・ブレイドのバロウズのレビュー・感想・評価

スリング・ブレイド(1996年製作の映画)
4.3
殺人の罪で精神病棟に収容されていた知的障害者のカールと、孤独な少年であるフランクの交流を描いた人間ドラマ。アカデミー賞脚色賞受賞作。

監督脚本主演を務めたのはビリーボブソーントン。
近年ではドラマ版「ファーゴ」で強烈なインパクトを残した彼だが、本作の演技はそれ以上で、ちょっとした仕草など細部に至るまで役になりきっており、本当に「カール」という人物が存在しているかのような錯覚にとらわれる。

また「知的障害者を美化していない」という点も良いと思った。
知的障害者を主軸に置いた映画だと、どうしても彼らを美化する傾向にあるが(フォレストガンプその他)
あくまで個人的にその手の思想の映画が苦手で、だって障害者にだって嫌なヤツはいるし、みんながみんな聖人君子ではない。
(そんな風潮をおちょくった『メリーに首ったけ』という傑作コメディもあるが)
この映画の主人公である知的障害者のカールは、母親とその恋人を殺した殺人犯である。
そんな人物に感情移入できるかというと実は出来てしまうのがこの映画の凄い所。
孤独な少年のフランク(ルーカスブラック)と交流を深め、初めて「親友」と呼べる存在に出会い、周りの人々も彼を暖かく迎えてくれる。
だけどやっぱり彼は殺人鬼だ。理由はどうであれ、やはり殺人犯であることには変わりない。そんな残酷な現実を突きつけられているようで、なんとも胸が締め付けられる作品だった。
特に主人公カールがフランクに最後の別れを告げるシーンには思わず涙腺が緩んだ。これから彼がやろうとしている事を考えると尚更。


「You will be happy 君は幸せになれる」
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