紫のみなと

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポの紫のみなとのレビュー・感想・評価

3.4
太宰治の文学といえば潜在的二人称、かの倉橋由美子も若い頃は偏愛していたという位ですが、自分も、10代の頃は数作品読んだけど残念ながらはまらず…。

過去には生田斗真とか小栗旬とかが太宰治作品の主人公または太宰治本人を演じて嘘っぽくて辟易でしたが、浅野忠信のこの大谷という作家の役の演技を見ていると、やっとこれこれ、って思えて安心しました。

本作の松たか子、ほんとうに綺麗でした。これぞ日本人女性の美が際立っていました。
人間をどこまでゆるすことができるのか、あるがままに受け入れるという事をどこまでできるのか…夫といえども他人ですから、すべて呑み込んでいく松たか子の口元に見惚れながら、そんなことを考えらされました。

それにしてもこんな破壊的な男の人理解できないし、つくづく無理です…が、先日観た「三島由紀夫vs東大全共闘〜…」は、三島由紀夫と全共闘の会話の半分以上理解できないけれども思わず興奮してくるほど面白く、三島由紀夫という作家のとてつもなさに感動したのですが、太宰治といい三島由紀夫といい、後世に残るってこういうことなんですね。