takeratta

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのtakerattaのレビュー・感想・評価

3.4
PG-12指定。

いつ読んでも、観ても、同じ別の苦悩を追体験してしまう太宰作品の映画化。


better halfを正に失ったピエロを生き、世に恥を晒し身をすくめて生きている己への
カウンターパンチのように響くことがあるし

己に限っては、病みが深まる事も多々有り、
素晴らしい、根岸監督の作品ながら、
観ることを畏敬の念もあり、敬遠してしまっていた己を更に恥じつつ、鑑賞。

太宰は、輪廻転生的な発想が、仮にあるとして、
太宰になる前は、何で、自死を遂げられぬ苦悩から解脱し肉体を捨てたら、何になったのか?
望む姿を遂げられたのか?


市川準監督の同名作品のクランクイン後に急逝を受け、
〜桜桃とたんぽぽ〜 のタイトルの前に、市川監督への敬意と師事を仰ぐ形で、前タイトルを建て、
本作品名となったときく。


ネタバレは避けるが、物悲しさと傍らに人間の欲の残酷さや、生きる事の難しさや、愛の在りどころの様々さが時代背景を超えても、普遍を感じる良作と仕上がっており、別小説作品であるものの、夕暮れる斜陽を印象的に示すような、緩急は、とても素晴らしい、

原作も読むのを勧めたいし、本作品も見応えを感じて欲しい。

そう言えば自分も学生時代にその私鉄で通学してたなぁ〜なんて、

近く感じる脚本や、
演者さまの渾身の演技や感情の裏表表現にも、冒頭からぐいっと引き込まれるのは、中々の凄み。
キャスティングの見事さもあるだろう。

根岸吉太郎 監督作品(2009年, 東宝)
第33回モントリオール世界映画祭 最優秀監督賞 受賞作品
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