フロントスカイ

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのフロントスカイのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

作家の太宰治を投影している自伝的作品。
繊細で傷つきやすく酒と女と金にだらしないナルシストの夫(大谷)を支える妻(佐知)の愛の物語。

2010年4月18日に一度鑑賞しているが、その時の一言メモでは、「この妻の気持ちを理解するのは困難。この夫にこの妻あり...か。」とその時は切り捨てている。

今回、体調を崩し療養中の鑑賞だったが、そんな時に観る映画としてはテーマが重くて暗い。この映画のテーマや内容について好き嫌いは別にして、演出、美術、演技、音楽全てに上質でレベルの高いものだった。

何故、そこまでこんな男を愛したのか?
(佐知)「女には、幸福も不幸もないものです」
(大谷)「男には、不幸だけがあるんです。いつも恐怖と戦ってばかりいるのです」

何と言っても松たか子が素晴らしい。浅野忠信もお見事。広末涼子ははまり役。妻夫木聡、堤真一も上手い。伊武雅刀と室井滋も当然いい味出している。監督の手腕もあるのでしょうが、皆さん素晴らしい演技でした。

堕落した夫に散々酷いことをされ、苦しい思いをしてきたはずの妻。にも関わらず、手をつなぎ「非人でもいいじゃない。生きてさえいればいいのよ」と妻が言って寄り添うラスト。

この映画、人間の弱さと強さ、男と女の本質を重厚感たっぷりに描いた大人の愛の物語なのではないでしょうか。


エピソード1
(私)
「しまった❗️(何々は)こうするべきだった。ああするべきだった」と後になって悔やむ。
(妻)
「今さら言ってもしょうがないじゃん❗️」(と素っ気なく一言)
(私)
まあ、そりゃあそうなんだけど...

これも男と女の本質の違いの一つだろうか💦