上海十月

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポの上海十月のレビュー・感想・評価

4.0
映画の作法について考えてしまう映画でした。最近テレビ出身の監督も多く日頃、クローズアップばっかり撮っているので、映画では、引きの映像が多く映像表現で人物像に肉薄しないケースをよく見ます。しかし、この作品は、クローズアップを効果的に使って、人物像に肉薄します。やや注文をつけると今度は、引きの映像がないんで、戦後の日本の現状があまり見えてきません。「飢餓海峡」で内田監督がやった闇市のシーンのようにドラマを盛りたてる風景描写が欲しかったですね。昭和21年ですからあちこちに廃墟があったはずなんで。松たか子、浅野忠信の代表作であり、太宰作品の精神をよく表現していると感じました。脚本田中陽三、監督根岸吉太郎と日活ロマンポルノコンビも良かったなと・・・
上海十月

上海十月