時代の流れによって失われた「時間」の数々。
列車の待ち時間。列車の移動時間。便りを待つ時間。
沼津から東京へ行くのだけでも、大事件。上野東京ラインで1本、迷ったらGoogleマップで調べる我々とは違う時間や生活を生きている。進歩の中で失ったものを思う。
遠くから来た誰かをもてなす経験から遠ざかって久しい。山田洋次が保存に成功した日本文化の残滓を垣間見る。
「わざわざ遠いところをありがとうございます、すいません。何もおもてなしもできませんで」
「いえいえ、お構いなく」
「(妻に目配せして)ほらお前、お茶でも出しなさい」
なんて高度な非言語コミュニケーションだろうか。日本に住む外国人の苦労が浮かばれる。