喜連川風連

男はつらいよ 奮闘篇の喜連川風連のレビュー・感想・評価

男はつらいよ 奮闘篇(1971年製作の映画)
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時代の流れによって失われた「時間」の数々。

列車の待ち時間。列車の移動時間。便りを待つ時間。

沼津から東京へ行くのだけでも、大事件。上野東京ラインで1本、迷ったらGoogleマップで調べる我々とは違う時間や生活を生きている。進歩の中で失ったものを思う。

遠くから来た誰かをもてなす経験から遠ざかって久しい。山田洋次が保存に成功した日本文化の残滓を垣間見る。

「わざわざ遠いところをありがとうございます、すいません。何もおもてなしもできませんで」
「いえいえ、お構いなく」
「(妻に目配せして)ほらお前、お茶でも出しなさい」

なんて高度な非言語コミュニケーションだろうか。日本に住む外国人の苦労が浮かばれる。
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