燕鷲

告白の燕鷲のレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
3.5
次から次へと羅列されるソリッドなイメージの数々をボケーっと眺めていればいいのだ。それこそ、テレビに流れているCMを鼻クソほじりながら観る感覚で。

何から何まで語ってくれる独白。
呆れるほど単純な人物造形。
実に嘘くせえ血飛沫。

おお、なんとサービス精神旺盛なことか。こんなに説明過剰なエンターテインメントも貴重である。例の「ドッカ〜ン!」のくだりなんて最たるもの。
一筋の涙を見せるためだけにCGと逆再生とスローモーションを駆使するという大盤振る舞いには笑わせてもらった。ポスプロでの涙ぐましい苦労の跡が見受けられる。

この映画には余白が無い。余白とは、端的に言って“間”のことである。観客の思考や想像力を喚起させるために必要不可欠なもの。
結果、映画は現実社会に対する警鐘や少年法への問題提起に薄れ、極めて単純な復讐譚として終着してしまった。

だが、それでいいのだろう。

あのマザコンかまってちゃん(くん?)の言うように、濃密で“それらしい物語”でないと世間は見向きもしてくれない。
何より、これは「ゴチャゴチャ言われようが俺は変わらん、好きに語らせろ」という中島哲也の告白なのである。
燕鷲

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