思春期特有の悩みを逆手にとった教師の復讐劇。
ある生徒の狂気が丁寧に描かれるが、それをも凌駕する先生の静かなる復讐心。
告白という形態で、短編映画が何本も積み重なっているような重層構造。
最初の30分だけでどんな短編映画よりも面白く、中島監督の才に脱帽した。
物語序盤で描かれる先生の話に興味を示さない生徒たちと、物語に乗り切れていない観客が見事にシンクロし、生徒たちの心の変化とともに観客はどっぷり映画世界に浸っている。
何度も何度も光が見えてはひっくり返され、すべての希望や金八先生的行動は裏目に出る。
昭和的生徒・先生像の崩壊を見事に表現した怪作。