3部作のラストにしてキェシロフスキ監督の遺作。
奇妙な登場人物とストーリー、ビジュアルの美しさを併せ持つ、前2作の魅力を融合させた最終作。
とはいえストーリーは地味で、中盤は少し弛んで眠気も出たが、音の演出と赤を基調とした映像、イレーヌ・ジャコブ堂々の演技によって作品の緊張感と興味を持続できている。
最も印象的だったのはカメラの動きで、劇場で参考書を落とした話をする場面や、電話線、赤いセットの写真撮影、そして不気味を示すあのメタファーにはとてもキレがあった。
「青の愛」冒頭の交通事故と対をなすラストはかなり楽天的で強引だけど、なんだかんだ楽しい三部作だったと思える大団円。キェシロフスキの手がけるラストのテーマが「博愛」だったのも本当に良かった。