エイデン

GODZILLA ゴジラのエイデンのレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(1998年製作の映画)
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南太平洋を航行中だった日本の漁船が突如として接近してきた巨大な何かと衝突するという事故が発生
後日 タヒチ島、パペーテにて、謎のフランス人フィリップは、事故を唯一生き延びた老人と面会する
老人は放射能を帯びた状態で発見され、呆然と“ゴジラ”という言葉を繰り返すだけだった
ウクライナ、チェルノブイリ
放射能がミミズに与える影響を調査していた原子力規制委員会に所属する生物学者ニックはアメリカ国務省の訪問を受け、何も聞かされぬままパナマへと連れて来られる
軍のヒックス大佐に迎えられたニックは、周辺でガイガーカウンターが反応していることから、放射能に関することで呼ばれたと察するが、直後 サンプルと言って示された巨大な足跡を見て仰天する
この巨大な生物は、ポリネシアで日本漁船を襲い、パナマの陸地を歩行した後どこかへと消えてしまったのだという
ニックは、古生物学者のチャップマン博士、科学者のクレイブン博士と協力し、この謎の巨大生物、通称ゴジラの正体を探るよう指示される
ニックら調査チームはジャマイカへ向かい、そこで座礁した日本漁船を目の当たりにする
その側面には、まるで爪で引っ掻いたかのような巨大な傷が残っていた
またその場には、災害保険会社のエージェントを名乗るフィリップが、チームを率いて調査を行う様子もあり、ニックは挨拶を交わす
その後 アメリカ近郊の沖合で漁船3隻が、海中から現れた何かによって沈没する事件が発生
そんな中 ニックは、日本漁船に残っていた肉片から検出された放射能の痕跡から、ゴジラはポリネシアでの核実験の影響で突然変異した新種の生物だと推測するのだった
アメリカ、ニューヨーク
リポーター志望であるニックの元恋人オードリーは、上司のケイマンからもまともな仕事を与えられず、悶々とした日々を過ごしていた
同僚のルーシーやカメラマンでルーシーの夫アニマルと食事していたオードリーは、偶然ついていたニュース番組に、調査中のニックの姿を見つける
だがそんな折、ニューヨークの港から突如としてゴジラが上陸し、ニューヨークは未曾有の危機を迎えることとなる



紆余曲折あってローランド・エメリッヒ監督が製作した『ゴジラ』のハリウッド版映画

ぶっちゃけ『原始怪獣現る』や『水爆と深海の怪物』など、レイ・ハリーハウゼンの特撮怪獣映画作品をリメイクしようとしたところ資金出なかったので、ゴジラのネームバリューを借りたという証言もあるくらいのバックボーンだけど、『ゴジラ』を再解釈したモンスター・パニックものとして普通に面白い作品

槍玉に上げられるのが怪獣というよりイグアナと恐竜の合いの子みたいなデザインのゴジラさん
フルCGでぬるぬる動くカッコよさこそあるものの、外見はどう見ても知ってるゴジラでは無いのでかなり戸惑う
他にも放射熱線を吐かなかったり(一応 息を炎に吹き付けて酸素爆発を誘発し炎を吐いているような描写、小説版では“パワーブレス”を出してるシーンはある)、マグロ食べまくったり(1984年版『ゴジラ』だと本家ゴジラは放射能食べてる)、無性生殖により大量の卵を産み付けていたりもする
そんな違いからも、完全に人知を超えた“怪獣”である本家とは違って、より現実味のある生物的なアプローチをして生まれたキャラクターになっている様子
そう考えるとフォルムへのこだわりが薄れたのも納得できるかもしれない多分
なおファンの声を受けてか、本家『ゴジラ FINAL WARS』にも登場
本家ゴジラとのタイマンバトルも描かれてるけど、このシークエンスのソフト版チャプタータイトルは『秒殺!』(ちなみに監督である北村龍平の意図的な演出)
やっぱりマグロばっか食ってるようなのはダメだな
ただまあアニメ映画版の前日譚小説『GODZILLA 怪獣黙示録』やアメコミ版『ゴジラ ルーラーズ・オブ・アース』では普通に活躍してる

また当初は続編企画なども存在
潰えたものの、本作のラストからそのまま繋がるアニメシリーズ『ゴジラ・ザ・シリーズ』も存在してる
こちらでのゴジラは、人類の味方だったり、放射熱線っぽいものを吐けるようになったりとより怪獣感マシマシで、他に登場する怪獣達と死闘を繰り広げるという、本家っぽい展開が拝める
ただ問題は、当時は一部ケーブルテレビで日本でも観られたものの、現在は北米版のDVD購入(しかもリージョンコード日本と違う)しかないという点か

『ゴジラ』シリーズとしてはかなりアレな印象だけど、個人的には前述の通りモンスター・パニック映画としてはかなり好き
あれだけデカい怪獣が街を暴れ回ってアメリカ軍と攻防を繰り広げたり、人間陣営もちっさいゴジラと追いかけっこしながら事態の解決を目指すという2つのスケール感がテンポ良く展開
ポップコーン・ムービーの類ではあるけど、コメディ要素もありながらスリリングで普通に面白い
本作を頭ごなしに否定するマグロは食われてどうぞと思ってた時期もある

まあ賛否分かれるのも『ゴジラ』シリーズを愛するファンがいてこそとも思うので、どうしても許せないファンの方は、見事にハリウッド版の雪辱を晴らした2014年のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』からなる『モンスター・バース』シリーズ観たり、もう存在しないけど設定だけネットの海に漂ってるヤン・デ・ボン版を妄想するなどしてほしい
ヤン・デ・ボン版をのゴジラと宇宙怪獣グリフィンが戦う映画も観たかったゾイ
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