よーだ育休中

GODZILLA ゴジラのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(1998年製作の映画)
2.5
南太平洋沖で日本の漁船を謎の巨大生物が襲撃。米国務省は、チェルノブイリでミミズの研究をしている生物学者Nick(Matthew Broderick)をはじめ、各分野の専門家を招集し調査を開始する。巨大生物は大西洋を横断し、中米を経て遂にニューヨークへと上陸する。


◆仔ゴジラしか勝たん

ハリウッドの破壊王ことRoland Emmerich監督の下、日本を代表する怪獣ゴジラをハリウッドが映像化。だが、これじゃない。

仏領ポリネシアで30年にわたり行われてきた核実験が新種の巨大生物を生み出してしまった。《ラ・マルセイエーズ》を流してからチープな環境破壊と爬虫類の資料映像を映すのはB級作品の冒頭の様です。

合衆国の調査隊。反りが合わない科学者と軍人。自国のヘマを隠蔽しようと画策する仏の工作員たち。自分のポストだけを考えるニューヨーク市長。ゴジラ以外の人間模様がそこそこ描かれているのに、肝心のプロットは驚くほどスカスカでありきたり。

Emmerich節が炸裂するのは破壊されるニューヨークの街の映像。ゴジラよりもビルの爆破にフォーカスさせるのは流石です。作品の主役を差し置いて爆破シーンを映すこだわりは天晴れですが、せっかくバカでかいモンスターが大都会に上陸したんだから、摩天楼をぶっ壊すのは米軍じゃなくてモンスターにやらせればいいと思うのは僕だけでしょうか。

マディソン・スクエア・ガーデンを魔窟に仕立てた所(だけ)は良かったと思います。アイデアは勿論、余計な事を考えずにモンスターパニックに没頭して楽しめたのが良かった。


◆モンスターの造り込みが中途半端

ハリウッドでリビルドされたゴジラは、最早原型を留めてはいません。辛うじて「爬虫類っぽい所」と「トゲトゲした背鰭」そして「鳴き声」と「放射線が原因で誕生した」くらいが共通点でしょうか。ゴジラフリークの方々的にはもっと細かい共通点が見つけられるのかもしれませんが、僕はそこまで詳しくなかったのだ。

そもそも最初から《ゴジラ》として観ている訳では無かったので、如何にゴジラとかけ離れていようと僕は気にしていません。ですが、モンスターパニック作品のモンスターとして見ても、しっかり粗が目立っていました。

二足歩行で尻尾を引きずりながら歩くゴジラとは違い、ティラノサウルスを代表とする《獣脚類》の様な出で立ちでした。CG作品とはいえ、まず腸骨・坐骨・恥骨まわりの骨格の設定がぐだぐだ。S.Spielberg監督の『ジュラシック・パーク』に登場する恐竜たちは、ここをしっかり意識した上でCG処理がなされているので、動きに変な違和感がありません。

今作のモンスターは骨盤まわりだけでなく肩関節と股関節の動きもぐちゃぐちゃ。二足歩行でニューヨークを闊歩していたかと思えば、こんどは四足歩行で地下道を這いずり周り、オマケに大西洋をイグアナのように泳ぐ始末。ベースがイグアナの突然変異種だっていう《設定》なら分かりますが、その《設定》がモンスターの《造形》に反映していません。可動域どうなってんだい。

今作のモンスターはメスでした。一匹で卵を産んで殖える事が出来るというのは、一部の爬虫類の中で実際にみられる繁殖方法です。ただし、それは無性生殖ではなく単為生殖。これはもしかしたら字幕が悪いのかもしれませんが(無性生殖と単為生殖の英語の言い回しなんて知らない)、後半はずーっと「無性生殖!無性生殖!」と言い続けていたので、これも観ていて気持ち悪かったです。