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淑女と髭のshunsukehのレビュー・感想・評価

淑女と髭(1931年製作の映画)
2.5
華族の幾子は、剣道の腕は達つが顔一面に髭を生やした岡島を不潔で荒々しいものとしてとらえ嫌っていた。しかし、岡島が髭を剃った途端、自分を守れる強い男として好意を持つ。不良のモガも髭を剃った岡島が、自分の廣子に対するゆすりを阻止した男だと気づかず思いを寄せることになる。しかし、彼女は幾子とは違い、岡島の人間性に触れ、不良からの改心に向う。廣子はその穏便に正義と人助けを行う岡島との出会いから好意を持ちそれを貫いていく。人間性の見極めの三者三様がある。
一方、岡島は髭をどういうつもりで蓄えていたのだろう。直に語る場面は無いが、思い当たるのは、冒頭のシーンだ。剣道の試合での岡島の常套手段は、敢えて自ら隙を作り、それにつられて生まれた相手の隙を突くというものだ。彼は、恐らく無意識に、見栄えの悪い髭の下に本当の自分を隠すことで、その見た目に左右されない人間関係を見つけ、結べていたのではないだろうか。
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