タンシロ

道のタンシロのネタバレレビュー・内容・結末

(1954年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ジェルソミーナの無垢で自分の心をそのまま映したような表情が印象的な映画だった。ザンパノはジェルソミーナのそんなところがいじらしくむかっ腹が立ったんだろうし、何より臆病で卑屈で不器用で自分のことを好きになれない人物だったんだろうな。正反対の二人というよりは、ザンパノが決して持っていないものをジェルソミーナは持っていたし、ジェルソミーナは何もできない役たたずの自分でも待ってくれたり迎えに来たり、なんだかんだ必要としてくれる態度をとるザンパノに対して願いに近い忠義心・・・う〜ん共依存に近いのかもしれないけれど、どこか還るべき場所として居心地をつくってしまっていたんだと思う。臆病なザンパノはジェルソミーナの玉のような表情や心を損なってしまい、またもや臆病風に吹かれ、欲のまま、責任と課題から逃げるようにして捨ててしまったのだけど、最後のシーン、よかったんじゃないかな。ちゃんと後悔を感じられて、ザンパノは救われたと思う。失ったのがジェルソミーナじゃなかったらあそこまで海辺で膝を折ってまで後悔しなかっただろう。獣から少しは人間(人の道)に近づけたんじゃないか?
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