Monisan

道のMonisanのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.0
観た。

旅芸人ザンパノに1万リラで買われるジェルソミーナ。
ジェルソミーナは少し知恵遅れなのか、無邪気に芸を学ぼうとするが、物覚えが悪くザンパノに枝で叩かれる。これ痛そう。

徐々にザンパノの粗野な振舞い、酒癖、女癖の悪さに嫌気がさしてくる。そりゃそうだ、恐らく初めてを捧げた男が他の女とすぐ寝てしまうのはきつい。

しかし、イタリア料理は例え貧相なレストランのものでも、下手人の女が差し出す簡素なパスタと肉でも美味しそうに見えるのは不思議。あのぶどう酒と一緒に頬張ったらさぞ美味いんだろうな、なんて考えてた。

綱渡り芸人イル・マットを逃げ出している最中に見かけるジェルソミーナ。羨望の眼差し。
結果ザンパノに捕まって合流したサーカス団に小さいバイオリンを弾くイル・マット。ここからおかしくなる。
ザンパノの鎖芸やペッポウいじり。この辺りはどう考えてもイル・マットが悪いんだけどね…

警察沙汰になって、行き先の判断を迫られるジェルソミーナ。
イル・マットの「この世の中にあるものは、何かの役にたつんだ」という台詞に希望を見出す。ただその後の「こんな小石でも何かの役に立ってる」知らんけど。なのが面白い。

結局、ザンパノについていくが、修道院のシルバーハートを盗んだり、挙句に偶然再会したイル・マットを殺めてしまう現場を見て病んでしまう。
そんなジェルソミーナを置いていく、ザンパノ。ここがいちばんのクズなシーン。

彼女の死の間際の様子を聞き、また酒場で暴れて、1人でいたいんだ俺は、と言って泣きじゃくり、Fine。
どうしようもない。

音楽がとにかく素晴らしい。ニーノ・ロータ。この情感たっぷりの音楽を聴くだけで、とても贅沢で上質な時間を過ごせたといっても良いのかも。
彼女のトランペットも良いし、オーケストラのテーマ曲も良い。寂しさもあるけど美しいメロディ。

何かの役に立てるように、生きていこうかな。少なくとも周りの人に優しくしよう。

フェデリコ・フェリーニ、脚本・監督
Monisan

Monisan