YangShaw

道のYangShawのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
1.6
僕はこの映画好きじゃないです。
特に気になる部分は、恋愛の共依存的関係を物語の軸として、肯定的に描いているところです。しかもその共依存的恋愛には、あまりにも有害すぎる男性性と、意味もなくどこまでも男に献身する女性像が内包されています。
ザンパノの最後の後悔で、彼の愚かさが清算されたというような擁護をしている人もいますが、最後の後悔はあくまで好意をもっていたジェルソミーナがいなくなったという喪失感に基づくものなので、男性らしさに対しての反省などは、あの後悔には含まれていないと思います。また物語内の機能としての罰だとしても、それは彼の内面に下された罰であるわけで、彼にある程度共感させるものでないと十分効果は発揮しません。現に僕はあのラストに何の情緒も感じませんでした。
時代は時代です。全ての価値観を現代の目線だけでジャッジするのは、それもまた「正しさ」ではないと思います。ですが映画というものは常に時代や文化の流れの中に相対的にあるものであって、一つの視点として現代的価値基準をもとにした批評を行うことも必要なはずです。
YangShaw

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