ぽんぽこ

道のぽんぽこのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.0
『道』前々から気になっていました。

のっけから「ジェルソミーナ!」と叫ぶ声の幕開け。
母が旅芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)のアシスタントをしていた姉が死んだと言い、少し知能が低い四姉妹の長女ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)が口減らしの為、二足三文で母に売られる悲しい場面から始まりました。
素直な性格の黒目がちな可愛らしい、一目見たら忘れられないお顔のジェルソミーナ。
ザンパノは粗暴な性格で胸部に巻いた鎖を胸筋だけで切るという芸をする屈強な体の男で、ザンパノのオート三輪に一緒に乗り
旅するのです。
鞭で叩かれながら呼び込みや太鼓の叩き方を教わるジェルソミーナ。
ザンパノは金ができれば女を追い、ジェルソミーナの気持ちなんて考えない粗野で卑小な男です。
小さな曲馬団に参加した際に綱渡り芸人のイル・マット(リチャード・ベイスパート)と呼ばれる男に出会います。
ザンパノとイル・マットは以前から顔見知りで何かと揶揄ってくるイル・マットが癪に触りいつも怒鳴り散らすザンパノ。
イル・マットが弾く哀しいメロディのヴァイオリンに惹かれ、心が和むジェルソミーナ。
いつもザンパノに怒られて卑屈になっているジェルソミーナにイル・マットは【この世のどんなつまらないものでも役に立つ時があるんだ】と教えてくれ救われるジェルソミーナ。
彼がジェルソミーナに一緒に来ないかと誘ってくれたけれど、心優しい彼女は不器用なザンパノが放っておけずにいるのでした。
彼もそれに気付いていながら、別れ際にネックレスをくれ、去っていくのです。
その後、ガソリンが切れそうになりお世話になった修道院で、一時はザンパノに心が惹かれたジェルソミーナでしたが、世話になった癖に悪い事をしようとするザンパノに優しい彼女は、心が折れます。
ザンパノ、クソだね。
修道女が優しい言葉を掛けてくれたのに結局彼女は後ろ髪引かれながらも、、、
その後、急転直下する事になるのです。



素直な心のジェルソミーナは悲しみが深過ぎて以前の様な振る舞いは出来ずに、ザンパノにとっては足手纏いな存在になります。
心底、ジェルソミーナの方も嫌気が差したようです。


彼女を置いて1人旅に出るザンパノ。
数年後、サーカスの興行地で耳にするあのメロディ。
聞くとジェルソミーナはこの地でこの曲をラッパで奏でていたのでした。
そして、死んだ事を知るザンパノ。
自分が捨てた癖に改めて失った事実を知り狼狽し大酒を飲むザンパノ。
大暴れし、皆が去っていく中、「誰も居なくても平気だ。ひとりで居たいんだ。」などと負け惜しみの様な事を言うザンパノ。
真っ暗な海岸で泣き崩れる姿は物悲しいものでした。


『道』っていう題名は何を意味してるんやろか?
度々、分岐点があり、もしもあの時違う選択をしていたらって事は人生で多々あります。
頭に映画がずっと残っていたのか、夢に出てきました。
きっと記憶に残る映画になるでしょう。
ぽんぽこ

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