円柱野郎

道の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

(1954年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

怪力自慢の旅芸人・ザンパノと、その男に助手として売られた白痴の女・ジェルソミーナ。
彼らの旅を通して人生の物語を描いたフェデリコ・フェリーニの代表作。

粗野な男と純粋な女が落ち着くところに落ち着く話かと思いきや、そうはいかない切ない物語が、この映画を名作と言わしめる所以か。
まあ半世紀前の映画なのでそれなりに古さは感じるが、見せ方は上手い。
進行上はジェルソミーナが主人公として、彼女の視点からザンパノが観察されるのだけど、終盤はそこが見事に転換されてザンパノの心情変化が怒涛のように押し寄せてくる。
これは見事だったなあ。
彼が嗚咽するクライマックスは心に刺さりました。

やはりそのラストで感動するというのは、そこまでの積み重ねがあってこそ。
ザンパノやジェルソミーナ、綱渡り芸人のキ印という人物は、それぞれに人間性のある一面を持たせたキャラクターなんだろう。
キ印は確かに狂ったキャラだとは思うけれど、ジェルソミーナに「存在することには意味がある」と語るシーンで彼の深いところに心打たれた。
それだけに展開としては何とも悲しいのだよね。
円柱野郎

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