&y

東京の女の&yのレビュー・感想・評価

東京の女(1933年製作の映画)
4.0
【2014/1/8:神保町シアター】柳下さんのピアノ伴奏付きで鑑賞。なぜかコメディと思い込んで予備知識なく観たら、どーーーんより。秘密をもつ女と、秘密を曝す女の話。
耳打ちで伝えていることが一体なんなのか、字幕が出ない。スクリーンの其処彼処からヒントを得ようと凝視するも、饒舌なヤカンの湯気や不穏な振り子時計にばかり目が留まるうち、結局明かされぬままエンディング(今思うと最後の電柱の張り紙は最大のヒントだったんだな)。
耳打ちの秘密がわからなくても理解できるお話なのだけど、ピアノ伴奏者の柳下さんの解説でやっと真相を補完できた。検索するとイロイロ解説読めます。
あれ以上は言えない時代背景もあろうが、その言葉の不在こそが作品を面白くしている。字幕以外に言葉の情報がないからこそ何か得ようと画を凝視し、終いには読唇術まで試みていた。なんというか、作りそのものが正しくサイレント向きで、サイレントゆえに深みが増す作品のように思う。
「一番見たいと客が思うものは隠せ」。小津さんの言葉。ああ、やっぱり。確信犯。
&y

&y