Ricola

アデュー・フィリピーヌのRicolaのレビュー・感想・評価

アデュー・フィリピーヌ(1962年製作の映画)
3.9
刹那的で享楽的な若者たちを、斬新な演出によってみずみずしく鮮やかに描き出した作品。
青春を全力で謳歌する彼らだけど、そんな華やかな時期にも残酷性を帯びた別れが迫ってくる。


リリアーヌとジュリエットという親友同士の二人。
彼女たちは何をするにもいつも一緒で、好きになる男性までも同じだった…。
最初は「どちらが先に落とすか」を競っていたが、だんだん二人とも本気になってくるのだ。

ロケーション撮影や、自然光の使用など、ヌーヴェルヴァーグらしい演出法がやはり見られる。
その中でも特にジャンプカットの多用が目立つ。
車内の騒ぐ様子と車を後ろから映す様子を交互に映す。
街中で歩く二人の様子やオラシオと語らう様子も、ジャンプカットで音とともに途切れ途切れに映す。
そのメリハリが斬新で生き生きとした映像効果を生み出すのだろう。

リリアーヌとジュリエットはいつもケタケタ二人で笑い合っていたのに、途中からお互いの感情と機嫌が反比例していく。それが二人のギクシャクした関係を表すのに、最も効果的なようである。

夜のダンスシーンがそれを象徴するようである。ミシェルを取り合ってそれぞれが彼と二人きりで踊る。
そしてそれぞれが違う相手と踊っている様子を見ている。
それをいわゆる古典的なモンタージュ効果を無視したような、大胆なつなぎで時間の経過を表すだけでなく、二人の対比を強調しているようである。

前半の享楽的な騒ぎから一転、彼女たちの青春からの脱皮の経過を観ることができた気がした。
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